強い組織作りの処方箋:③「刺さる」トップメッセージの必要性
あなたは、トップメッセージを定期的に発信していますか?
「優れたトップメッセージ」は強く・活気のある組織作りの特効薬です。
このコンテンツではよくある失敗事例をもとに「従業員に刺さるメッセージ」を作るためのポイントを解説します。
目次
あなたは、従業員に対してマーケティングをしているか?
企業トップのメッセージは、定期的に従業員に伝えるべきです。
優れたトップメッセージには従業員のモチベーションを上げ続け、自発的な行動を生む効果があります。
これは従業員に向けたマーケティングだと言えます。
メッセージを発信し続け、従業員の心にあなたの理念やビジョンを浸透させ続ければ、組織は活性化するからです。
しかし、従業員の心に刺さらないメッセージは全く意味がありません。
むしろ組織を硬直化させ、パフォーマンスを悪化させてしまいます。
では、どういうメッセージを作れば組織は活性化するのか?
よくある失敗事例を交えて解説していきます。
よくある失敗事例:①経営数字を延々と語り続ける
最初に紹介する失敗事例は、経営数字を「延々と」語り続けることです。
そもそも人間の集中力が金魚以下と言われる現代において、延々と数字の話をしても従業員の記憶には残らず、モチベーションアップにも繋がりません。
従業員の興味を引き、モチベーションを上げるには以下のポイントを押さえたメッセージが有効です。
ポイント1:経営数字は、従業員に管理させる
もしあなたが経営数字を従業員に管理させていないなら、最初のメッセージは「経営数字の管理は従業員に任せる」という内容とし、実行するべきです。
その理由は、数字を管理させないと従業員の心に「他人事」意識が生まれるからです。
従業員自ら自分の進捗を管理し、他の従業員の進捗と比較出来るようにすれば当事者意識・競争意識が芽生え、もう1段上の仕事をしてくれるようになります。
それは私たち起業家に自由な時間をもたらすことにも繋がるのです。
ポイント2:従業員が成果を出す為のヒントに特化する
経営数字を従業員に管理させている場合、進捗や問題点を一番把握しているのは従業員です。
出来た・出来ないの話を延々とコメントしたところで、従業員の心には否定的な感情しか生まれません。
私たち経営者が数字に対してコメントすべき点は、進捗や個別の事案ではありません。
従業員が成果を出す為のヒントを与えるべきなのです。
その理由は、従業員の欲求に訴えた方が成果に繋がるからです。
ほとんどの従業員の欲求とは社内で評価され、自分の望みを叶えるというもの。
成果を出すためのヒントを与え、従業員の背中を押すメッセージを作ってみて下さい。
従業員の動きが全く違うことに気付くはずです。
よくある失敗事例:②あまりに壮大過ぎるメッセージ
次の失敗事例は、壮大過ぎて実感の湧かないメッセージを作ることです。
起業家は勉強熱心で熱いハートの持ち主が多いせいか、国内の市場動向や世界情勢に関する話を熱心にしたがる傾向が強いです。
でも、ちょっと考えてみて下さい。
日経平均やGDP、遠く離れた外国で起こっている問題などがあなたのビジネスに与える具体的な影響とは何でしょうか?
直接的な影響を受ける問題について取り上げるのは良いことです。
しかし、従業員が直接的な問題だと認識しなければ、どんな良い事例を紹介したところで「他人事」になってしまうのです。
従業員が反応するのは、「世界」や「国内」というキーワードではありません。
自分が担当している市場の話です。
従業員の目の前にある市場にフォーカスしたメッセージを作りましょう。
従業員の反応が第一。これが重要なポイントです。
よくある失敗事例:③単なるダメ出しにしか聞こえない
最後の事例は、ダメ出しにしか聞こえないメッセージです。
人間は、ほめられ、期待されてはじめて自発的に行動する生き物です。
「自分のことを否定されている」と思った瞬間、人間は殻に閉じこもります。
一度殻に閉じこもった人間を殻から引きずり出すのは、かなり難しい作業です。
二度と出てこないことも普通にあります。
このような状態では、強い組織など生まれる訳がありません。
とは言え、悪いものは悪いと言える風土がなければ組織は強くなりません。
おべっかだらけの職場や問題を放置する職場はもってのほかです。
この問題の解決策は、叱り方や注意の仕方を学ぶことです。
ポイントは、相手に自分を否定されたと思わせないことと、解決の処方箋を示すことです。
ミスをしたことは当事者が一番よく分かっています。反省している人も多いはずです。
そこでとどめを刺すような発言をするから組織が上手く回らないのです。
従業員に自ら反省させ、リカバリーしようと思わせる叱り方や注意の仕方を身に付けましょう。それは結果的に、あなたの「良く動く手足」を増やすことにつながるのです。
欲求を刺激するメッセージが、組織を活性化させる
トップメッセージのよくある失敗事例とその対策を解説してきました。
ここまで読んで頂ければお分かりだと思いますが、「従業員に刺さるメッセージ」とは従業員の欲求を刺激するメッセージなのです。
従業員の欲求を刺激すれば、従業員に行動を促すことが出来ます。
そして従業員が自分の存在を認めて貰えていると認識すれば、彼らは自発的に行動を始めるのです。
そして更に強力な効果を発揮するのが、企業理念とトップメッセージとの整合性です。
企業理念とメッセージとの整合性が取れていれば、「一貫性の法則」によってあなたの権威性は更に高まります。権威性は人を集め、信頼感を高める効果があります。
活きた企業理念をベースにしたメッセージを作り、浸透活動を続けて下さい。
活性化した組織が、あなたに経済的・時間的な自由をもたらしてくれるはずです。